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実世界指向インターフェース

2004-08-23

「MouseField : 「置いて,動かす」イディオムを用いた日用品の拡張」
http://mobiquitous.com/mousefield.html

ここのところ「仮想」から「実世界」へ、というのがトレンドだ。コンピュータによって物理的制約から解放されたはずだったのが、逆にコンピュータから実世界を認識することへと研究開発が向かっている。単に娑婆の方がおもしろいからなのか、あるいはもっと別の契機が働いているのか?

「私の言語の限界が、私の世界の限界」といった論理学者がいたが、プログラミング言語の限界が、はたしてコンピュータにとっての「世界」の限界なのだろうか。

実世界センサーやインターフェースはコンピュータにとって「世界の拡張」を意味する。コンピュータにとっての世界の限界は、センサーとインターフェースなのだ。そして、その限界は日々やぶられ、拡張されている。これは言語による世界が十分に広いために、インターフェースがいくら拡張されても、まだ世界の限界に達していないということとは別の問題だ。

J.P.ホーガンの「未来の二つの顔」[[ASIN:4488663052]]に登場するスパルタクスというコンピュータ・ネットワークは、推論能力と実在世界のセンサーのほかに、自分自身を物理的に製造・改良する能力が備えられている。

現実にも、すでに現世代のCPUが次世代のCPUを設計し、製造しているともいえるし、だいぶ前から「処理内容に応じてハードウェアを高速に再構成可能」なチップの開発が進んでいる。[http://www.nec.co.jp/press/ja/9902/1502.html] プログラム言語などというまだるっこしいものは、近い将来、人間以外には必要とされなくなるだろう。

このサイクルが飛躍的に短縮された場合に起こりえる事態は想像を超えるものがある。特に実世界とのインターフェースが十分にとられている場合には、だ。

そういう意味で、今はまだかわいらしい実世界指向インターフェースではあるが、それは饕餮(トウテツ)が発する赤子の声かも知れないのだ。(http://www.pandaemonium.net/menu/devil/Toutetsu.html)

「未来の二つの顔」に登場する人類は、賢明にも地球外の閉ざされたスペース・コロニーでコンピュータ進化の実験を行った。実在の人類はおそらく、インターネットの商業化のときのように、なしくずし的に新技術を実用化してしまうのだろう。その先に見えるのは、はたしてどちらの顔だろうか。

星野之宣版(講談社漫画文庫)もおすすめ[[ASIN:4063601641:image]]

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